一昨日あたりだったか、この夏のシーズン初めてのミンミンゼミの鳴き声を聞きました。
季節の風物詩がちゃんと巡ってきたな~と、暑いけれどホッといたしました。
ホッとしたり、ちょっと不安になったり、感動したり。
内容の濃いお仕事をエスペディエンテにご依頼を頂きました。
ハンドメイドの機械式時計の革カバーを鹿革で作りたいのだけれど…と、
以前からお世話になっている方からご相談とご依頼を頂きました。
クワイエットクラブ という新しい時計のブランドで、製作者は日本人。
メイドインジャパンにこだわっているとの事でした。
さすがに所有はできないけれど、機械式時計は興味がある世界でした。
歯車だけで時を刻むことができて、その歯車も全てハンドメイド。
バッグを作ることの何百倍の時間とパーツが必要になるのに、
見た目はバッグよりも小さく、手に納まるサイズ。
ロマンのある世界に関わることが出来る事はとても光栄に感じました。
まずは『革カバー』の製作に取り掛からせて頂きました。

アウトラインのご指定を頂き、カバーの口元の「留め方」について提案して欲しい。
…というご依頼でした。
3パターンの「留め方」のご提案をさせて頂きました。
金属素材は使用せず、全て天然素材。
可能ならば日本産にこだわりたいというご意向でした。

不安でした。
出来上がりを納めてから、ご連絡がしばらく無くて不安でした。
どうだったのかな~。
ちょっとイマイチだったかな~。
基本、ネガティブなので良くない事を色々考え想像をふくらませておりました。
数カ月経過して、窓口になって下さっている方がお打ち合わせの為にご来店下さいました。
作り直しということは、チラッと伺っておりましたので、
仕上がりがイメージと違っていたのかな~と、
やっぱり良くないことを考えながら、お打ち合わせを迎えました。
お会いして、お話を伺うと… びっくりでした!
「3つとも、どれも良くて選べなくなっちゃってね~」と。
どれも良いから、3つの良い所を取り入れた新たなモノを作って欲しいと、
「逆に刺激を与えてしまったよ~。ならば、こんなことできるかな?」
と、さらにハードルが上がる要求を頂きました。
なんだ! そうだったのか~と、目から鱗が落ちる思いでした!
ならば、自分達も燃えてきます!
この革カバー案件は、信州の鹿革に対して、
日本の鹿角を組み合わせるご提案をできたことが良かったです。
再度、革カバーの製作に取り組ませて頂きました。
最初の3種の要素を取り入れたいご意向をもとに、イメージを膨らませました。
クルクル革ヒモを巻く要素と先端の鹿角パーツ。
その要素を取り入れて、再解釈です。
鹿角パーツはブランドロゴの傘から、傘のデザインに。
その傘のパーツをどのように固定するか。
カバーの口元をどのように留めるかを考えました。





悩みアイディアを絞ったおかげで、今回のパターンでご納得頂けました。
革カバーと共に『時計ベルト』のご依頼も頂いておりました。
同素材の信州の鹿革を使用して、ご指定のデザインのベルトもお作りました。


まずは、「肉盛り」の無いベルトを。
ベルトのフォルムは男性的な印象のパターンです。
1作目のベルトも悪くなかったようでしたが…


再度、サンプルお預かりして新たなベルトをお作りしました。
「肉盛り」をして、先端が細身なラインのベルトです。
しかも、ステッチは最小限のデザインをご希望されておりましたので、
ご意向通りにお作りしました。
この肉盛りのある細身なラインのベルトが採用となり、ご納得頂けました。
最終到達点まで考え喰らいつくことができて良かったです。
挑戦させて頂けた事に感謝いたします。
実は、ここまで実物の時計を見させて頂くことなく、
デザインのご指示を頂きながら、『革カバー』と『時計ベルト』をお作りして参りました。
ベルトはちゃんと配置できることを信じました。
時計を見させて頂く事は叶わないだろうな~ と、思っていましたが…
嬉しいご招待を頂きました。



この小さな輪っこは、時計ベルトの為の小さな「サル革」です。
お披露目会にあわせてお作りする、大小2組のベルトにあわせて、
全部で 8個 完成させました。
それに辿りつくまでに、3個 ボツになりました。
失敗したつもりは無いけれど、ボツになりました。
小さなパーツは本当に繊細です。
同じ革、同じ厚み、同じサイズで仕上げていても、
手仕事ですから全く同じには出来ない。
その多少の差異がぬくもりとか、作り手の気配につながると思うのですが、
今回ばかりはそれが裏目にでます。
数値で追う事はできず、最後は現物合わせ。
ストレスと違和感の無い「サル革」を目指しました。

クワイエットクラブさんの「Fading Hours デリバリーイベント」
時計のお披露目会へのご招待を頂き、上京して参りました!
出来上がった時計を間近で見させて頂く事ができて、
しかも自分達が製作した時計ベルトがセッティングされていて、感動でした!
あわせて工房見学も開催されました。
機械の説明や工程の説明を頂きましたが、
分からない世界過ぎて理解してイメージすることが難しく、
「へー」と、うなずいて耳を傾けるが必死でした。
お披露目会の会場では、クワイエットクラブのプロジェクトチームの皆さんと、
松本に居たら絶対にお会いすることが出来なかった方々と
お会いする事ができてお話をすることできて、
胸いっぱいの充実感と刺激を得て松本に帰って参りました。
