『スマホ財布ショルダーバッグ』『コインケース』

『スマホ財布ショルダーバッグ』『コインケース』

「ウォレットショルダーバッグ」を作ることはできますか?革の色は緑が良いです。と、すぐにもご自分のご要望お伝え下さりご来店頂きましたお客様。フルオーダーでのご依頼でした。

オーダー種類

フルオーダー

使用皮革

アリゾナ (コインケースの裏貼り:シュリー)

サイズ

スマホ財布ショルダー:W18㎝×H11㎝×全体D4㎝ コインケース:W10.5㎝×H6.8㎝×D2.8㎝ 

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梅雨の蒸し暑さと真夏が一緒になってやってきいる感じです。
「暑いですね~」があいさつ言葉になってきています。
暑さが厳しくなると、身軽な服。身軽な荷物にしたくなります。

身の回りの貴重品をひとつにまとめることが出来るバッグを、
フルオーダーにてご依頼頂きました。

「ウォレットショルダーバッグ」を作ることはできますか?
革の色は緑が良いです。
と、すぐにもご自分のご要望お伝え下さりご来店頂きましたお客様。

フルオーダーでしたら可能ですよ。と、お伝えして、
すでにお使いになられていた、他社様のウォレットショルダーを見させて頂きながら、
機能面についてお打ち合わせさせて頂きました。

お打ち合わせを進めていくと…

  • 他の方が持っていないものが欲しいです!
  • 世の中にないものが良いです!

と、お客様はご意向をお伝え下さいました。
この要求をご満足して頂くには、なかなか大変です。

エスペディエンテのアトリエにございましたいくつかのバッグをご覧頂き、
気になってくださったのが、かぶせ蓋のクラッチバッグ。
そのクラッチバッグの見た目の要素を取り入れる方向でイメージが固まりました。

clutchbag
かぶせ蓋のクラッチバッグ

イメージの状態からのスタートでしたので、
まずは、型紙を起こし具現化させた実寸大サンプルをお作りして、
スマホ財布ショルダーバッグの仕上がりイメージをお客様にご確認頂きました。

見た目についての方向性は良さそうでしたが、
細かなフォルムラインについて、ご指摘を頂きました。

walletshoulder

構造についてのご指摘は、内装に配置しておりました小銭入れ機能は無くして、

別アイテムとしてコインケースを作って欲しいということでした。

スマホ財布ショルダーバッグの実寸大サンプルをご確認頂けましたので、
この構造を元にもっとクオリティを上げての本製作です。

walletshoulder

構造についてはほぼ出来上がっておりましたので、
本製作では、見た目の模索に振り切れることができました。

見た目について、お客様のご要望を形に落とし込むことに苦労しました。

好んで下さったクラッチバッグの雰囲気を守りながら、
お財布機能とスマホポケットも配置して。
そして、できるだけ小さいサイズを。
それをどう形にするかが、一番悩みました。

「カッコイイやつを。」というご依頼も頂いておりました。

walletshoulder

バッグの顔となる、金具選びも悩みました。
金具の形。留め方。カッコイイと感じる男性要素も欲しい。
いろいろ探して、この錠前に行きつきました。

金具が決まり、方向性が決まれば、
縫う順番と、何が必要で何が必要じゃないか。
見えちゃいけない隠すパーツを洗い出しました。

スマホ財布ショルダーバッグ本製作です。

緑の革色をご希望されておりましたので、
ゆくゆく深い緑色に経年変化する、
アリゾナのターコイズ色をお勧めさせて頂きました。

walletshoulder-making
『スマホ財布ショルダーバッグ』 製作中

サンプルご確認頂いてのお客様は、全体的には構造についておおよそ良かったようで、
それよりも見た目にこだわっていらっしゃいました。

お客様に、お!いいね!とおっしゃって頂けるように
リクエストに応えなきゃいけない。
見た目について一番苦労しました。

見た目の要素として存在が大きい縫製のステッチにつきましては、
サンプル時よりも多めしております。
出来上がって見るとやっぱり、やって良かったです。

蓋の頂点のラインに必要なだけの縫製にしていたら、あんまり良くない。
とりあえず縫いました、みたいな感じにとられてしまう。
サンプルのステッチ塩梅では、ステッチの存在が薄いなと感じておりました。

正面の台形ラインでも、ラインに沿うようにステッチは増やしております。
縫えるギリギリでは無く、台形に沿ったステッチのラインを伸ばしたい。
その為に、どこから縫製をスタートするかが問題になります。

ステッチを増やすことは簡単なようで簡単ではないです。

左右でステッチは揃えたいし、その為に全てが狙った針穴にこないといけないのです。
一見、一回で一筆書きのように縫いきっているように見えますが、
何回かに分けて縫い分けています。
見た目がいかに綺麗に見えるかということに、注意しました。

出来上がってみて…

サンプルの段階で感じていた、蓋の長さの寸足らずの窮屈さがあったことと、
底のゆとりもう少しあって良いのかなと感じましたので、
本製作では、サイズの修正・微調整ができました。
微調整できたことによって、仕上がりがより良くなったと感じております。

内装に配置しているロゴの当て革が良い効果です。
やっていることはそこまで難しくないのですが、
アクセントにもなるし、バッグを開き正面から見た時に内装の床面が隠れます。
床面が隠れて見た目が良く、吟面の色の統一感。
それとは逆に、内装全体の銀面と床面のコントラストがあることもまた良いです。

walletshoulderbag

蓋の開閉は一枚革で良かったなと感じております。
蓋の裏貼りは無くし、可能な限り1枚革で仕立てるコンセプトのバッグでした。
革の柔軟性がありますし、蓋を反対側にも折る事もできます。

ボディ正面の台形ライン。
角度について、お客様よりご指摘を頂いておりました。
どの位がお好みか、お打ち合わせいたしました。
ゆるくするパターンも考えましたが、サンプルよりも角度をきつくしております。
結果、良かったと思います。

『スマホ財布ショルダーバッグ』の本製作では見た目に苦労しました。
サンプルの段階である程度構造が導き出せていたので、
見た目に集中することができました。
サンプルの構造を元にもっとクオリティを上げていったのが本番でした。

逆に『コインケース』はサンプルすら無い、イメージからのスタートでした。

生み出す時は構造を導きだして、それからデザインを考えます。

コインケースのご要望は…

  • 別アイテムとしてお作りする事
  • バッグと同じ錠前を使う事
  • ショルダーベルトに固定したい

ナスカン金具でぶら提げる事は嫌です。と伺っておりましたので、
ショルダーベルトにどう留めるかをとにかく悩みました。

かぶせ蓋を挟みこむ形で配置すればよいのでは?
と、お客様よりご希望を伺っておりました。
そのまま、おっしゃる通りにお作りすると現実的には無理があります。

3㎝幅もあるショルダーベルトに蓋をただ挟むだけの構造ですと、
蓋に隙間が空いて小銭が落ちるのではないかと。
通常の上下ではなく、コインケースは無理な位置で固定されるので尚更心配です。
いわれた通りやれば良いわけではなく、
どうしたら理想をカタチにできるのか、考え抜きました。

coincase-sample

サンプルの段階が無く、本製作を迎えることとなりましたので、
構造を導きだすことから取り組みました。
その構造を確認する為のサンプルを作り、模索しました。
構造があって、その後どんなデザインにするかに発展します。

coincase-sample

 

coincase-sample

コインケースのサンプルは作りましたが、
細かいことはお任せします。と、託して下さっていたので、
サンプルは自分達が確認する為のものです。
お客様には出来上がりをご覧頂くことになっておりました。
良いのができたね~と、おっしゃって頂けるように。
バッグ本体と同じくらいに、コインケースもかなり悩んで型紙を起こしました。

coincase-sample

coincase-sample

バッグとリンクしたコインケースの出来上がり

別アイテムとしてご要望頂きましたコインケースは、
革色イエローをご希望されましたので、
アリゾナのイエローに、裏貼りはゴートレザーのシュリーを使用しております。

coincase-making
『コインケース』製作中

最終的には、この構造に落ち着きました。

walletshoulderbag

台形ラインをいかしたベルトへの固定ができました。
蓋でショルダーベルトを挟み込んで固定することは決まっておりました。
それを可能にするためにリスクを想定して、多少利便性を犠牲にしても、
バッグとリンクした台形ラインをうまくいかしたベルトへの固定を考えました。

coincase

 

coincase

 

coincase

バッグとコインケース。ふたつのアイテムがリンクすることができました。

どちらも台形ラインのフォルムをうまくいかすことができました!

walletshoulderbag

お客様が欲しいと要求された、他の方が持っていない。
世の中に無いアイテムを、お客様にお届けすることができたかなと思っています。

ご依頼ありがとうございました!