ご夫妻でエスペディエンテをご愛顧下さるお客様より、
何かに活かせるかな? と、お問い合わせを頂いたのが、
20年程前に購入されたエルメスの生地物ショルダーバッグでした。
以前より、革と革以外の素材を使った
新しいアイテムに挑戦してみたいなと思っておりましたので、
良いチャンスだと思い、ご依頼を承らせて頂きました。
バッグのメインとなるロゴを中心にトリミングして
裁断された生地に対してちょうど良いサイズが、
『サコッシュバッグ』でした。
定番デザインですと、メイン収納とポケットのファスナーとございますが、
ロゴを活かすために表面はメインファスナーのみにして…と、
リメイクのご依頼を頂きました。
これまで、ヘリンボーン柄の生地をバッグに仕上げたことが無かったので、
裏打ちする芯材の選択に悩んでおりました。
そこで、松本市中町通りにございます
「ようさん工房」のようさんに相談しにいきました。
ようさんがストックされている芯材の中から選んで下さったものを
その場で仕上がりの質感の違いを比較しながら試して下さいました。
お蔭で、良さそうな芯材にたどり着くことができました。
あわせて、なんとなく…
この生地のシミは、自分で落とせるものなのかな?
と、ようさんに話してみると
「絶対止めた方がいいよ~。生地の質感変わっちゃうよ~。」
「お世話になったクリーニング屋さんがあるから、そこにお願いしてみなよ~。」
相談にのってくれるから行ってみるといいよ。と、アドバイスを頂き、
そのまますぐ教えて頂いた「宮坂クリーニング所」さんへ。
シミ取りをして下さる、旦那さんに見て頂きましたが、
生地の劣化もあるし、簡単にはいかない。
処置をして生地がもつかどうか。生地の地がでてしまわないか…と。
どこまでシミを落とせるか明言はできませんが、
ご依頼頂ければ、承ります。とおっしゃって下さったので、
現状よりも良くなるのならば! と思い、
ご依頼主様にもご確認を頂き、シミ取りをお願いすることにしました。
シミ取りが仕上がってきて…
綺麗でした。十分過ぎるくらい綺麗でした。
生地のシワも伸ばして下さり、素材として見栄えも良くして頂きました。
自分でやらずに良かった! お願いして本当に良かったと感じました。
ちょうど忙しい時期でお時間がかかりますよ… ともおっしゃっており、
お客様がお使いになるご予定にギリギリの状況でした。
ギリギリを覚悟していたのにも関わらず、
とても早く仕上げて下さり、本当に助かりました。
お蔭で納期のお時間にハラハラせずに、じっくりと取り組むことが出来ました。
(クリーニング前後の写真を撮りましたが仕上がりの綺麗さをお伝え出来るのはやはり実物ですね(^^;)
シミ取りクリーニングが想像以上の綺麗な仕上がりで受け取ったバトン。
身が引き締まります。
限られた材料ですし、失敗も許されません。
今回のサコッシュバッグ用に、定番の型紙をもとに修正を加え、
一番悩んだのがエルメスのロゴの位置です。
シミュレーションをしてエルメスのロゴがどの位置にきたら
一番良いのかを探りました。
角の「当て革」のサイズにも気を付けました。
大きさバランスを探りました。
切込みを入れてダーツを寄せて、マチとなる膨らみを出していますが、
生地そのものだけですとほつれてきちゃうので、
「当て革」は生地のほつれ止めと目隠しの役割を果たしております。
ロゴの位置は良かったんじゃないかなと思います。
迷った甲斐がありました。バランス良かったと思います。
残りの生地がありましたので、
芯材を全く使用しない仕立ての『ポーチ』もお作りいたしました。
芯材を使わずに生地のみの場合の質感が、
どんな仕上がりになるのかという比較の為でもあります。
『ポーチ』のカタチを保つ為に、
フレームの役割となる革の玉ブチを仕込んでおりますので、
柔らかいけれど、ちゃんとカタチは保ちます。
異素材と革の組み合わせ。
仕上がりは、とにかく軽い。
劇的に軽い!
軽さを追求するには、革以外の素材のチカラを頼っての良いのかな…。
今後の課題と挑戦です。
コメントを残す