「コバ」の仕上げ

革の裁断面部分を「コバ」呼んでいます。

素材としての革から、製品としての鞄となって革が重なりあった革の端も「コバ」と呼んでいます。

革

出来上がった鞄を全体の雰囲気を見る場合、

「コバ」を意識的に見る方は少数であると思います。

よく見なければわからないような箇所が「コバ」ですし、

いちいちそんなところまで目がいかない箇所が「コバ」ですが、

そんな「コバ」にも、私のこだわりを詰め込んでいます。

細かい部分にも手を抜くことが無いよう心掛けているのは、

わざわざエスぺディエンテにお越しくださった方々や、

オーダーしてくださったお客様に喜んで頂きたいからです。

 

コバの仕上げには、「へり返し」と「切り目」の仕立ての二通りがあります。

「へり返し」の仕立ては、出来上がりサイズにへり返す部分もプラスして革を裁断します。

革の端を床面(裏面)へ折り、革の断面は内側に入り込み、

コバの表に出てくるのは革の銀面(表面)だけですので、

異素材が表面に出ることなく全体の統一感が生まれます。

クワトロ4

「切り目」の仕立ては、革の断面が表に露出していて、

出来上がりの実寸で革は裁断されていますので、

よりシャープなラインを出す事が出来ます。

二重、三重と革が重なり合っている断面の箇所も、

一枚の革として見えるように、革が重なり合っている断面に違和感が無いように、

切り目をした断面を磨きあげ、最後に染料や顔料でコバに色をつけます。

「へり返し」の仕立てもよりも、工程が増えて少々手間のかかる仕上げです。

 

ひとつもバッグの中にも、「へり返し」と「切り目」の仕立ての両方を織り交ぜながら、

仕立てています。

どちらの仕上げにも、それぞれに良いところがあって、

しかもコバの仕上げは、バッグの表情にかなり影響してきますので、

それぞれを私なりに使い分けて仕立てております。

クワトロ2

向かって左にあるショルダーベルトは、「へり返し」の仕立てです。

ショルダーベルトは、様々な方向から負荷がかかる為、

柔軟性を持たせたく「へり返し」の仕立てをしてあります。

 

向かって右のファスナーのツマミは、「切り目」の仕立てです。

小さなパーツですが、中に革を仕込んで削りながら「肉盛り」をさせて、

コバの仕上げは「切り目」の仕上げをしてあります。

厚みをもたせたツマミの断面を、一枚の革にみえるように磨きあげ、

最後に顔料をぬります。

その顔料もそれぞれの革色に合わせ、いつも色を調合をしています。

小さなパーツですが、手間をかけたものになります。

手間をかけた分だけ、出来上がったときの全体の雰囲気が違ってきます。

「なんだか良い雰囲気の鞄だわ~」

と、なんとなくお客様が感じていただけるように、喜んでいただけるように、

心掛けて鞄づくりをしています。

 

インタビュー:エスぺディエンテ かづみ

Posted in インフォメーション, 鞄職人の日々

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