革の裁断面部分を「コバ」呼んでいます。
素材としての革から、製品としての鞄となって革が重なりあった革の端も「コバ」と呼んでいます。
出来上がった鞄を全体の雰囲気を見る場合、
「コバ」を意識的に見る方は少数であると思います。
よく見なければわからないような箇所が「コバ」ですし、
いちいちそんなところまで目がいかない箇所が「コバ」ですが、
そんな「コバ」にも、私のこだわりを詰め込んでいます。
細かい部分にも手を抜くことが無いよう心掛けているのは、
わざわざエスぺディエンテにお越しくださった方々や、
オーダーしてくださったお客様に喜んで頂きたいからです。
コバの仕上げには、「へり返し」と「切り目」の仕立ての二通りがあります。
「へり返し」の仕立ては、出来上がりサイズにへり返す部分もプラスして革を裁断します。
革の端を床面(裏面)へ折り、革の断面は内側に入り込み、
コバの表に出てくるのは革の銀面(表面)だけですので、
異素材が表面に出ることなく全体の統一感が生まれます。
「切り目」の仕立ては、革の断面が表に露出していて、
出来上がりの実寸で革は裁断されていますので、
よりシャープなラインを出す事が出来ます。
二重、三重と革が重なり合っている断面の箇所も、
一枚の革として見えるように、革が重なり合っている断面に違和感が無いように、
切り目をした断面を磨きあげ、最後に染料や顔料でコバに色をつけます。
「へり返し」の仕立てもよりも、工程が増えて少々手間のかかる仕上げです。
ひとつもバッグの中にも、「へり返し」と「切り目」の仕立ての両方を織り交ぜながら、
仕立てています。
どちらの仕上げにも、それぞれに良いところがあって、
しかもコバの仕上げは、バッグの表情にかなり影響してきますので、
それぞれを私なりに使い分けて仕立てております。
向かって左にあるショルダーベルトは、「へり返し」の仕立てです。
ショルダーベルトは、様々な方向から負荷がかかる為、
柔軟性を持たせたく「へり返し」の仕立てをしてあります。
向かって右のファスナーのツマミは、「切り目」の仕立てです。
小さなパーツですが、中に革を仕込んで削りながら「肉盛り」をさせて、
コバの仕上げは「切り目」の仕上げをしてあります。
厚みをもたせたツマミの断面を、一枚の革にみえるように磨きあげ、
最後に顔料をぬります。
その顔料もそれぞれの革色に合わせ、いつも色を調合をしています。
小さなパーツですが、手間をかけたものになります。
手間をかけた分だけ、出来上がったときの全体の雰囲気が違ってきます。
「なんだか良い雰囲気の鞄だわ~」
と、なんとなくお客様が感じていただけるように、喜んでいただけるように、
心掛けて鞄づくりをしています。
インタビュー:エスぺディエンテ かづみ
コメントを残す